サッカーのある生活...

育成年代のサッカーに関わる指導者の奮闘記

【サッカーコーチの働き方】

毎年、この時期になるとサッカー界は退団や移籍の報道が多くなってくる。もちろん次年度以降の活動の為に涙を飲んで決断をしなければならないこともあるのかもしれない。

もちろんそれは育成年代のサッカーコーチにも例外なく訪れる。プロ(業務委託契約)とはそういうものなのかもしれないが、なかなか厳しい世界だ。特に育成年代の指導者にとっては、本当に本当に厳しい現実である。

サッカー選手のように高額な年俸を貰っている訳ではないし、それなら他の仕事をしながら...という訳にもいかない。契約の問題やそもそも時間がないというのが理由だろう。

話が逸れてしまうが...少し読んでみて欲しい。

■ オランダで感じたサッカーコーチと働き方

2019年、コロナが流行する直前にU-16年代を連れて運良くヨーロッパに遠征に行くことが出来た。その際にオランダのクラブに出向きトレーニングマッチをさせてもらった。試合の方は2つ上の選手達を相手に善戦をして1-1のドロー。先制点を奪い、相手を本気にさせたところからが本当の試合だったような感じがした。

サッカーの話はこれくらいにして。

試合後にクラブハウスに招かれて、自分の中の全力の英会話で統括的なコーチに沢山話を聞かせてもらった。もちろん試合の話もしたのだけど、それ以上に印象的だった話がある。『コーチは何人くらいいるの?』何気なく聞いてみた質問だが、どうやらクラブにいるコーチ達には他に本業があったのだ。(※全てのコーチではない。ちなみに統括的なコーチはフルタイムだそう)

すると...話を聞いていると奥から練習試合を担当していたコーチが『今日はありがとう!良い試合だった!良い遠征になることを祈ってる!』と爽やかに言い残して急いで帰っていったのだ。『彼はどうしたの?』と聞いてみると、娘のお迎えがあるとのこと。なるほど...ちょっと日本と様子が違うぞ。娘のお迎えが優先なんだな...優先に出来る環境なんだな。もちろんクラブハウスの施錠や選手の管理は統括的なコーチが当たり前のように行っていました。

迎えに行ったコーチには、他に本業があるとのこと。フルタイムではないが、時間を切り売りして地域のクラブとサッカーで繋がっているのだ。そして地域のクラブに関われていることを誇りに思っている。なんて素晴らしいのだと...地域で育った人が他に仕事を持ちながら地域のクラブに関われて、更にそれを誇りに思えるなんて最高じゃないかと...これは日本でも出来ないものか?と思ってしまった。

■ サッカーコーチとしてのキャリアと生活のバランス

現状、日本では考えにくかもしれない。

でもサッカーコーチの働き方は改善出来るところがあると思うのです。他に生活の基盤を作りながらサッカーコーチを続けられるような環境も作っていく必要があるのではないだろうか。これだけサッカーが生活に密着してきているのですから、生活とサッカーとの関わり方も変わってきて良いはずです。

『生活が出来ないのなら仕事を変えれば良いじゃないか。』

そんな簡単なことではありません、

サッカーコーチとしてのスキルが向上し、いろんな事が見えてくるようになってきた年齢に差し掛かると生活の為にサッカーコーチを辞めていく人もいます。これは大きく言えば日本サッカー界の損失でもあるのです。

サッカーコーチにも生活があって未来がある。

日本サッカーの更なる発展の為にも、今一度サッカーコーチの働き方について見直してみることも必要だと思うのです。

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■ 忘れてはいけないサッカーコーチ自身の問題

その為には...サッカーコーチ自身の成長が必要不可欠です。サッカーの世界にしか触れていないと世の中の常識から少し離れてしまうようなところもあります。またサッカーコーチは感謝されることの多い立場ですから、勘違いしてしまうことも少なくありません。横柄になってしまったり、感謝が足りなかったり...

我々サッカーコーチ自身が社会性を持つこと、そして自分自身のサッカーの領域を拡げていくことが必要でしょう。サッカーコーチの社会的な立場を向上させていかなければなりません。

もっともっと世の中のことに興味を持ち、実は〝サッカーではないことが、サッカーを動かしている〟ことも理解していかなければなりません。

自戒も込めて

自分自身を高めていきたいと思います。